説明文
創建当時から西金堂内に安置されており、細部は天平時代のかなり早い時期の手法を用いて造られていることから、天平時代の建築技法を現在に伝え、塔の建築様式の発展をたどる上にも重要であることと、建造物としての五重塔はこれ一基しか存在していないので、これらの点からこの小塔の価値が高く国宝に指定を受けている。小塔は屋内で安置することを目的とした為、近くから見たり拝んだりするであろうことから近くから見た時の工芸的な性格を非常に重視しており、小塔の外部は組物などの細部にいたるまで忠実に作られている。またこのことは寸法取りにも表れており、上層部にいくにしたがって塔身が細く作られていることから上層部と下層部の均整を重視した寸法取りを行っていることがうかがい知れる。