説明文
大安寺の四天王立像はいずれも頭上から台座を含めて一木彫である。四天王は、持国天は東方、増長天は南方、広目天は西方、多聞天は北方をそれぞれ守護している。
一般的には、甲冑に身を固め、武器を執り邪鬼を踏んで立つ像で、広目天は筆と経巻を持ち、多聞天は天に塔を捧げている。四天王は飛鳥時代から現代にいたるまで造立されているが、時代とともに姿も躍動的になっている。
大安寺の四天王像はいずれもかなりの後補の部分があり、本来一具であったものではないようだ。しかし他の観音像と相通ずる点が多く、やはり天平末期の作といえる。
四体とも岩座に立っているが、これは岩というよりも山塊を表わし、仏教の須弥山を象っているともいえる。中国大陸の魏々たる山塊の形状を良く知る仏師の手になるものだと考えられている。