楊柳観音立像

説明文
観世音菩薩は、三十三身に変化し衆生を済度するといわれているが、その表現される像容の種類も多いと言える。楊柳観音もその一例で、手に柳の枝を執るので、こう呼ばれている。おそらく柳葉が風になびくように衆生の願いを聞きたまうということであると思われる。又、楊枝など口内を清浄にすることから、病魔の侵入を防ぎ健康を保つ。口業を清浄にする等の願いが込められてきた。この観音様は画像に描かれる例が多く、女性的な優しい表現がなされる。大安寺の楊柳観音は古い木彫像として極めて珍しい存在で、台座ともに一木彫である。つり上がった大きい眼、かっと開いた口、そこには舌と歯が表され、内面をじっと見つめ、静かな怒りをたたえたような忿怒の形相である。少し変わっているのは、胸と腹部の間に、下裳を締めているようにもう一つの石帯が刻み出されていること。裳にはかすかに彩色文様の痕跡が見られる。下顎を引き、肩から胸にかけて強い張りを持たせ上体を伸ばして充実した身の構えを示した見事な姿である。この楊柳観音像は、天平彫刻の面影が強く偲ばれて秀逸である。とくに忿怒相の観音像として注目すべき像であり、いつから楊柳観音と呼ばれるようになったのかは定かではない。
対象名称楊柳観音立像
読みヨウリョウ・カンノン・リュウゾウ   Yoryu-Kannon-Ryuzo
時期天平時代 8世紀半ば以降
文化遺産国指定重要文化財
造形者-
素材木像
対象仏像
形態-
形状168.5cm
位置菩薩
場所奈良市大安寺
宗派高野山真言宗
建物讃仰堂

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